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サタンには気をつけよ

うつむいて歩いている女の子、足元の小石をポーンと蹴った。


<何か嫌な事があったの?>


川辺に一人の男が座っていた。そして女の子に声をかけた。


「やぁ、君も面白くなさそうな顔してるね。どうだい?ここへ来て釣りをしないか?」

「釣りなんて興味ありません。」


女の子はそのまま行こうとしたが、その男の手元を見て立ち止まった。

「何してるの?何を釣ってるの?魚じゃないのね?」


―男はサタンだった― ニヤリと笑い、

「そうさ、魚など釣って何が面白いかね。人だよ。人のたましいを釣るんだ。面白いぞ。見てみるか?」

女の子は、見てみたい衝動にかられて近づいた。

「ホラ、こんなふうにさ」

男は近づいてきた女の子を、あっという間に倒してしまった。


気を失った女の子に向かって、サタンは言った。

「いいかい、お聞き。憎い奴はね、恨んで恨んで、許さないんだよ。心の中でそいつを殺すんだ。


何度も、何度でも殺して傷めつけるのさ。機会をみてオレが力を貸してやろう。
そいつを本当に傷つける機会を与えてやろう。お前のようなかぼそい娘を悲しませるとは、何という奴だ。
許すな。許すな。必ず、復讐してやるんだよ。」


サタンは一匹の蛇を取り出し、
「さあ、お行き。この者の心に、お前の住まいがいくらでもある。」

蛇の目は光り、はって行って、その子の体の中にスゥ〜〜ッと入り姿が消えました。


女の子は目を覚ましましたが、その時はまわりに誰もいませんでした。

「おかしいな。夢でもみてたのかな……。」

あのサタンが、今度は街なかにいます。忙しく動く人間達を見て、獲物を探しています。


「―あいつだ!あれにのりうつろう。」

サタンは、何気なく近づいて行きました。

帰宅ラッシュの電車の中で、その人は大あくびをしています。疲れたのでしょう。

夜道を歩くその人を、サタンは追い越し、振り返りました。


その人の前に立ちはだかるようにして立ったサタンに、気づいたその人は、サタンの出した異臭に咳込みました。


サタンはすぐにその人の思いを攻撃し、黒い霧のようなものがその人を襲いました。

否定的な思い、お前はダメだ、ダメな奴だと徹底的にサタンが攻めたてました。


「―そうさ。俺は何をしても、上手くいかないんだ。今日だって……。
ちくしょう。どうして俺はこうなんだ。上手くいく奴が憎らしいぜ。ちくしょう。ちくしょう。」


サタンは挑発しました。

「憎いか?だったら、恨んだらよい。腹立たしいか?だったら、もっと憎めばよい。
お前のようなダメな人間に、チャンスが回って来るためには、上手くいってる奴らがダメになればいいのさ。簡単なことだよ。」


サタンはスッと何かを、その人に渡しました。

「計りだよ。ものを見る尺度だ。これからは、これを使うといい。
人を愛さず、許さず、憎み、踏みつけ、恨みながら生きていくんだ。
そして人を蹴落とすことによって、ダメなお前の居場所がもっと増えるようにしたらいい。」

サタンはスゥ〜〜ッと消えました。


(わが子よ、暗闇のわざだ。サタンは終わりの時代に、人々をもっと地獄へ連れて行くために策を練ってある。
うかうかしていると、クリスチャンもやられるのだ。気をつけるがよい。)


砂丘です。一面砂ばかり。広〜〜〜い。
こんなの初めて見たわ。
草一本も生えず、見渡す限り砂地です。

後ろから、全身真っ黒なサタンがつけて来ます。
鬼のようにツノがはえてる……。


「主よ、サタンがつけて来ます。」


(すきを狙ってるのさ。人の中に入り込み、その人の思いを攻撃して
神の思いから引き離そうとして、あなたを狙ってついて来る。どうする?娘よ。)


「イェスさま、絶対、嫌です。追い出せるように力を与えて、強くしてください。お願い致します。」


(―そうしよう。)


ある所に来ると、一本の橋がありました。「砂地に橋?」

イェスさまと私がその橋を渡るのを、サタンが下で何匹も待ち構えています。


(娘よ、こうしよう。)


イェスさまと私は橋を渡らず、遠回りして行きました。

「主よ……。この先、砂があちらこちら、へこんでいます。 もしかしたら、サタンかもしれないです。」


イェスさまは、(たとえ待ち伏せしていても、安全な道はある。 わたしから、離れない事だよ。)


私はイェスさまの足跡を、注意深くたどりました。


(大丈夫だよ。娘よ、ついて来なさい。)


砂に隠れて見えない敵でも、イェスさまから目を離さなければ、大丈夫。

イェスさまと一緒の道。

でも、ずぅ〜っとサタンが、後を追いかけて来ます。

「イェスさま、今追い出しましょうか?すごく気になるんです。」


(娘よ。生きている間は、常に狙われている。どんな人間でもだ。
サタンと思いが一つ、心が一つになっている人間には、サタンはもう攻撃することはしない。

その者は死を迎える時、完全に自分の国―地獄―へ連れて行けるからだ。


しかし、そうでない者には絶えず誘惑があり、攻撃があり、その者のたましいを奪おうと近づいて来る。


霊のことを、何も知らず無知であるなら、やられるしかない。

しかし、世には間違った教えが、いくらでもあるものだ。

真理の道は一本だけだ。 サタンがどんなに惑わしても、真理の道はただ一つだけだ。


わたしが道であり、真理であり、いのちだ。他にはない。

神は唯一であって、他にはいない。あなたたちの罪を贖(あがな)ったのも、人として現れたキリスト・イエスだけである。
娘よ、さあ行こう。)


カルバリに続く道にやって来ました。丘に十字架が見えます。

十字架にたどり着くと、ひざまずいて祈りました。


祈ることは、たくさんあります。でも、感謝を一番先にささげました。

このような者を愛して、十字架にかかって死んで下さったことに、深い深い感謝をささげます。


イェスさまがどこかに行かれたので、祈っている私のそばに、サタンが近づいて来ました。


「おまえ……」何か言おうとしたサタンをさえぎって、イェスの御名によって追い出します。

サタンは逃げて行き、遠くまで離れて行き、あきらめきれずに また様子をうかがっています。


再び祈りだしました。

今度は悔い改めをし、サタンを追い出し、踏みつける力を求めました。

サタンの手から、蛇が二匹送られてきました。

黒い二匹の蛇は、丘をはい上がって私に近づいて来ました。


そこへ、剣を持った天使が立ちました。

はい上がって来た蛇は、剣によって刺し通されました。


「ちっ、しくじったか。」サタンは、蛇が殺されたのを知って、つぶやきました。

「どうにかして、あの祈りの娘に近づき、攻めて落とすことができないだろうか。
今までいろいろな手を使ってきたが、今日はどうやって攻めて行こうか。」


サタンは、お婆さんの姿になりました。
「フフッ、これでうまくいこう。」

杖をついたお婆さんが、丘を登って十字架に近づきました。


私は、まだ何も気付かず祈っています。

「あ〜〜っ、疲れた。やっと、登れたわい。まったく、年寄りには厳しい坂だよ。
さあ、その十字架のそばに座っている娘さんや。少し、私の話を聞いてくれないかい?」


「どうして?祈るために、十字架を目指して来たんでしょう?
私に話すより、主に直接祈りで語った方がいいのよ。
私はただの人間で、何も分からない者だけど、主はあなたの心をみな見ておられ、知っておられるわ。」


急に、私の心がひどく苦しくなってきました。

この人からくる、どうしようもない嫌な思いが伝わってきたのです。

「あなた、祈りに来たの?そうじゃないでしょう? 何の為に、ここまでやって来たの?」


お婆さんが口を開いた時、分かったのです。サタン充満でした。

どうしようもない吐き気がして、イェスの御名と血潮で追い出しました。

お婆さんは杖を投げ捨てて、すごい勢いで走って行きました。

「やっぱり、お婆さんじゃなかったんだわ……。」


イェスさまが、戻って来られました。


「主よ……。」ひざまづいて礼拝しました。
「おそばにいさせてください。主よ、あなたの足元でいつも、ひざまづかせてください。お願い致します。」


(娘よ。サタンを追い払ったのか。サタンは、祈りの場にもやって来る。教会の中にも入って来る。
しかし、追い出すなら大丈夫だ。)